宮崎市の保育施設229園が同じ研修を受ける意味とはを象徴する保育現場の写真

ニュースの概要

宮崎市と株式会社コドモンは、市内の認可施設と認可外施設を合わせた全229の保育施設を対象に、オンライン研修サービス「コドモンカレッジ」を使った取り組みを始める。市の課題に合わせた専用の受講環境を用意し、保育士が役職や専門分野ごとに順を追って学べるカリキュラムづくりも支える。これまでの集合研修は、忙しい保育士が日程を空けにくく、園をまたいで継続的に学ぶ場も確保しにくかった。今後は受講の状況や理解の度合い、現場での実践までを把握し、研修の中身を改善していく方針だ。自治体が民間の研修基盤を全施設に広げる点が特徴である。

引用元: 宮崎市とコドモン、全229保育施設を対象にオンライン研修を導入(atpress)

分析・見解

集合研修が抱えてきた、日程と継続性の二重の壁

保育士の研修は、平日の夕方や土曜に会場へ集まる形が長く続いてきた。だが現場は、子どもの降園対応や書類作成で手一杯である。研修に出るには、代わりの職員を確保しなければならない。小規模な園ほど、一人抜けるだけで保育の質に響く。

もう一つの壁は継続性だ。年に一度の講義を聞いても、翌月には日常業務に埋もれる。園ごとに学ぶ内容もばらばらで、市全体の底上げにつながりにくかった。今回の取り組みは、この二つの壁を同時に崩そうとしている。

認可外まで含めた全施設対象という設計の重み

注目したいのは、認可施設だけでなく認可外施設も対象に入れた点である。認可外は公的な研修の案内が届きにくく、職員の学びの機会に差が出がちだった。事故防止や虐待の予防といった基本事項こそ、すべての園で同じ水準にそろえる必要がある。

全園が同じ基盤に乗れば、市は共通課題を一括で届けられる。たとえば午睡中の見守り方法や、災害時の初動といった内容を、全229園へ同時に展開できる。これは集合研修では難しかった速さである。

受講履歴が見えることで、研修そのものを改善できる

従来の研修は、出席したかどうかしか記録に残らなかった。オンラインなら、どの動画を最後まで見たか、確認テストでどこを間違えたかが分かる。つまずきの多い単元は、内容を作り直したり、補足の勉強会を開いたりできる。

他分野には先例がある。介護や医療の現場では、eラーニングの履歴を使って苦手分野を洗い出し、法定研修の未履修者に早めに声をかける運用が広がった。保育でも同じ流れが来たと見てよい。研修を受けさせて終わりにせず、効果を測って直す。この循環が生まれるかどうかが、取り組みの価値を決める。

見落としやすい論点は、動画を見る時間をどこで生むか

オンラインにすれば忙しさが消えるわけではない。勤務時間内に受講する時間が確保されなければ、結局は職員の持ち帰り学習になる。ここで園長の判断が問われる。

鍵になるのは、受講時間を勤務として扱う仕組みと、市からの人員面の後押しである。システムを整えても、時間の設計を誤れば形だけの導入に終わる。技術より運用が成否を分けるという点は、導入前に押さえておきたい。

ビジネスへの影響

園の運営者が今のうちに整えたい受講の時間割

園を運営する側は、導入を待つ前に、勤務の中で学ぶ時間を決めておくとよい。たとえば昼寝の時間帯に交代で15分ずつ受講する枠を作る方法がある。短い動画を積み重ねる形なら、まとまった休みを取れない園でも続けやすい。

あわせて、誰がどこまで受講したかを園長が把握する担当者を一人置きたい。履歴が見える仕組みも、見る人がいなければ宝の持ち腐れである。

人材育成と採用の両面で効いてくる体系的な学び

役職や専門分野に応じた道筋が示されると、若手は自分の成長の見通しを持ちやすくなる。処遇改善に結びつくキャリアアップ研修の要件とも相性がよい。学べる園だという事実は、人手不足の中で求職者に伝えられる強みになる。

一方、保育用の連絡や記録のシステムを手がける事業者にとっては、研修と日々の記録を結ぶ余地が広がる。自治体と組んで基盤を提供する形は、他の市町村にも広がる可能性が高い。保育関連のサービスを検討する企業は、導入後の受講データの扱い方を含めて、提案の準備を進めておくべきだろう。

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